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【004】過去問は出題の意図を見抜いて直さないと…【社会科】

こんにちは。

「社会科の過去問の直し方について」です。

社会科の選択肢問題を間違える生徒にありがちの思考は「これは知っている、こんなの知らないよ」と「知識があるかどうか」で、すぐ判断することです。

2013年度の「浅野中学校」の問題を例にあげて説明してみます。

大問1 問7

「今では日本人に親しまれているカレーライスの材料を通した日本と外国の交流についての説明として、もっとも適切なものを次の あ ~ え の中から1つ選び、その記号で答えなさい。」

 カレー粉の中に入っているトウガラシは、16世紀にポルトガル人によって日本に伝えられたといわれている。

 ジャガイモは、17世紀の後半に江戸幕府とイギリスとの貿易によって日本に伝えられ、ききんを救う食べ物として広まったといわれている。

 アフガニスタンが原産のニンジンは、17世紀の後半に江戸幕府とロシアとの貿易によって日本に伝えられたといわれている。

 イランやパキスタンが原産のタマネギは、18世紀に江戸幕府とフランスとの貿易によって日本に伝えられたといわれている。

さて、どれが正解でしょう?

この時、トウガラシの伝わり方、ニンジン、タマネギの原産地を知っているか知らないかでアプローチする生徒が多いです。そんなことを聞くわけないと思って欲しい。

この問題は「江戸時代の外交の基礎」を形を変えて聞いているだけに過ぎないのですね。

日本と西洋との交流は、1543年のポルトガルとの出会いをはじめに、1549年のスペイン、1600年のオランダ・イギリスと続きます。そして、(いわゆる)鎖国体制の完成とともに「1639年より1854年まで、オランダのみ」と交流があった。これは勉強している生徒ならわかっています。

この知識があれば「い」の「17世紀の後半のイギリス」「う」の「17世紀後半にロシア」「え」の「18世紀にフランス」は × だとわかります。

結局のところ「江戸時代は(西洋の国は)オランダとだけ貿易していましたよ」という知識があれば良いのです。

ところが、各種解説書を読むとそう解説していないものも多い。トウガラシ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギの伝わり方について「事実」を書いている。社会科は事実を調べようとすれば容易ですからね。まさかこの問題を解説するときに「事実」を説明する塾講師はいないと信じたいものですが。「これは捨て問だ」とか言わないだろうな…。

ところが真面目な生徒ほど、「直し」の際、この解説を丸写しにしてきたりします。過去問の演習はどこの塾でも(実施形式は違うにせよ)行うと思いますが「解説授業」が無い場合が多いです。

とても、もったいないと思います。過去問から得られる経験値・栄養分を吸収しきれていません。

「純粋に知識を聞いているのか」「基礎知識を形を変えて聞いているのか」「習ったことを具体化できるかを聞いているのか」「読んで考える問題なのか」など、問題の意図を理解して直さないと、無意味な時間と労力を使い、無意味な知識を詰め込むことになります。

もう1問あげてみましょうか。同じく2013年度の「浅野中学校」、大問3 問7です。

問7 下線部(オ)について ーーー。

誠君のここでの質問(日本の世界遺産のうち「文化遺産」がいくつあるか)に数字で答えなさい。

過去問演習をやると、よく手が挙がる問題です。

「先生、これは2013年度当時の数ですか? 2019年現在の数ですか」

気持ちはわかります、今やモンドセレクションなみに世界遺産が増え続けている日本では、全部覚えるのも大変なレベルです。いや、本音を言うと、老化現象もあるのか、私もきつくなってきているんです。

しかしこの問題、リード文を読むと、以下のように書いてあります。

「まてよ、日本には世界遺産が16ヵ所あるはずだけど、自然遺産を除くとすべて文化遺産だったな。(オ)文化遺産はいくつあるんだ。」

とあります。説明っぽいセリフですが、そこは触れない。

自然遺産は「白神山地・屋久島・知床・小笠原諸島」と4つしかありません。これはすんなり出てこないといけません。この4つが出てこない子は「基礎知識不足」です。

ゆえに「16-4=12」で「12」が答えになります。「よく読むとヒントがある」出題です。まあ、2013年当時は12個なので、スラスラ出てきた生徒もいるでしょうが、今はだいぶ増えましたし、同じ構造で「文化遺産がある都道府県の数」という聞かれ方をしたら相当やっかいです。(だいたい、最後の1つが思い出せなかったりすんですよねえ…)

何より「数えるのに試験時間を使いたくない!。」試しに自分でやってみたら、3分弱かかりました。

長々と書いてしまいましたが、過去問演習の直しの際「これ、ほんとに覚えるべきなの?」「これ、もっと簡単に解ける方法ないの? ヒントない?」と感じたら(感じることが重要なのですが)、直す前に講師に聞いてみることをおすすめします。できれば解説の授業が欲しいところです。

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四日市市の石油化学コンビナート。「コンビナート」を「コンビニの一種」だと思っていた生徒がいましたね…

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by S-Fukawa | 2019-06-25 00:22 | 社会

首都圏周辺で、中学受験「国語・社会」の家庭教師を請け負っています。家庭教師ならではの強みを生かし「一方的に教え込む」のではなく、生徒さんに考えさせる質問を通じて、じっくりと「本人の力で解けるようになる」ことを目指しています。特に国語・社会ともに「記述問題でお悩みの生徒さん」は、ぜひご相談ください。詳細はプロフィールをご覧ください。


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